ICTを活用したアート制作の可能性
ICT(情報通信技術)の進化により、障がいのある方々の表現活動が新たな可能性を迎えています。特にアートの分野では、テクノロジーを活用した支援が、創造性の発揮と社会参加の促進に寄与しています。
ICTを活用したアート制作の事例
視線入力技術を用いたアート制作が注目されています。例えば、特定非営利活動法人「あいの実」は、視線入力装置を活用し、重度の障がいを持つ方々がアート作品を制作する取り組みを行っています。これにより、身体的制約を超えた表現が可能となり、作品集『Gaze Art Book』として結実しています。
また、株式会社divxは、障がいのあるアーティストが自身の作品をオンラインで展示・販売できるプラットフォーム「Art-O(アート・オー)」を提供しています。このプラットフォームは、テクノロジーを活用してアーティストと世界をつなぎ、作品の発信と収益化を支援しています。
インクルーシブデザインとアート
インクルーシブデザインは、多様な人々をデザインプロセスに巻き込み、全ての人にとって使いやすい製品やサービスを生み出す手法です。茅ヶ崎市美術館では、障がいのある方々や外国人など、多様な背景を持つ人々を巻き込んだ展示やワークショップを開催し、インクルーシブデザインの推進に取り組んでいます。
さらに、東京藝術大学のインクルーシブアーツ研究では、障がいのある方々を主役とした新たな音楽や芸術表現の開発、地域定着に向けた手法の確立、評価指標の検討、人材育成など、多角的なアプローチでインクルーシブアートの可能性を探求しています。
テクノロジーとアートの融合による社会変革
テクノロジーとアートの融合は、障がいのある方々の社会参加を促進するだけでなく、社会全体の意識改革にもつながります。例えば、株式会社オリィ研究所が開発した分身ロボット「OriHime」を活用したカフェでは、外出が難しい方々が遠隔操作で接客を行い、働く喜びを実感しています。
また、株式会社ヘラルボニーは、障がいのあるアーティストと協働し、その作品を多様な製品や空間デザインに活用することで、アートとビジネスを融合させた新たな価値創造を実現しています。