相談概要
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背景
- 50代・男性。16年間の糖尿病悪化により末期腎不全となり人工透析を受けていたが、最近腎移植を受けた。
- 現在は腎機能がある程度回復しているが、障害年金や一時金を申請できるか知りたい。
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主な疑問
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人工透析時点での障害年金申請可否
- 人工透析を行っている場合は、初診日などの要件を満たせば2級に該当する基準がある。
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腎移植後の受給可否
- 腎移植によって腎機能が回復した場合、障害認定基準で2級・3級に当てはまらない可能性が高い。
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症状が回復しなかった場合の可能性
- 腎機能が十分に回復しないケースや、他の合併症(ネフローゼ症候群や重度の糖尿病性合併症など)がある場合は、受給の可能性が残る場合もある。
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人工透析時点での障害年金申請可否
留意点
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人工透析による障害年金認定(2級)
- 初診日や保険料の納付要件を満たしていれば、人工透析を行っている方は2級に該当することが多い(障害厚生年金の場合は3級に該当することもあるが、通常は2級が標準)。
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腎移植後の腎機能評価
- 腎移植により腎機能が改善すると、障害等級の認定基準(血清クレアチニン値が3.0mg/dl以上、eGFR値が20ml/分/1.73㎡以下 など)を満たさず、支給対象外となる場合が多い。
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重度の糖尿病合併症の認定基準
- 内因性インスリン分泌がほとんど枯渇している状態で、血清Cペプチド値が極めて低い(0.3ng/ml未満)などの場合は、糖尿病性腎症・網膜症・神経障害等を併発していれば認定される可能性がある。
回答・アドバイス
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現在の腎機能を主治医に確認する
- 腎移植後の血清クレアチニン値やeGFR値を把握し、障害年金の基準を満たしているかどうか、まずは主治医と相談する。
- ネフローゼ症候群や他の合併症(重度の糖尿病性合併症など)がある場合、その検査数値もチェック。
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初診日および保険料納付要件の確認
- 腎疾患や糖尿病で初めて受診した時点が初診日となるため、カルテや診療記録を探して特定する。
- 障害年金を請求するには、初診日の前日時点で保険料の納付要件を満たしているかが重要。
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症状固定後(または一定期間経過後)に申請
- 原則、腎移植後の状態がどの程度固定するか経過観察が必要。
- 実際に診断書を依頼するタイミングは、主治医が「安定した状態」と判断する時期を目安にする。
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年金事務所や専門家への相談
- 請求手続きや具体的な要件の確認は、年金事務所で予約を取って相談するとスムーズ。
- 手続きが難しい場合は、社会保険労務士やNPO法人「障害年金支援ネットワーク」など、専門家のサポートを受けることを検討。
まとめ
本事例は、長期間の糖尿病から末期腎不全となり人工透析を受け、腎移植後の状態で障害年金を申請できるかを問うケースです。人工透析中であれば2級相当と判断される基準がありますが、腎移植後に腎機能が回復すれば支給対象外になることが多いのが実情です。ただし、移植後も腎機能が十分に回復せずに障害認定基準を満たす場合や、他の重度合併症がある場合は受給できる可能性があります。まずは主治医に現在の腎機能を確認するとともに、年金事務所や専門家へ相談し、初診日や保険料納付要件を確認しながら、適切な時期に申請を検討してください。
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